2019年5月27日

医療業界のVR活用ってどうなっているの?活用事例や効果をご紹介

医療業界のVR活用ってどうなっているの?活用事例や効果をご紹介

日常生活で馴染みがない人も多いかもしれませんが、VR(バーチャル・リアリティ、仮想現実)は医療業界でも活用されています。
治療中の患者さんの痛み軽減や、PTSD(心的外傷後ストレス障害)の治療、医学生の教育/育成トレーニング、遠隔医療など目的はさまざまです。
今後、目にすることが増えてくると思われる、医療業界のVR活用についてご紹介します。

治療中の痛み軽減

癌のような痛みを伴う病気の治療に活用されています。
患者さんにVRヘッドセットを装着してもらい治療をおこなうことで、痛みや医療機器の計測結果などの現実から気をそらす効果があることが分かっています。
また、歯科医師は歯を抜いたり、注射をおこなう場合の患者さんが持つ恐怖心を和らげるためにVRを活用している事例もあります。

VRヘッドセットを装着した状態で歯科治療を受ける少女

PTSD(心的外傷後ストレス障害)の治療

PTSD(心的外傷後ストレス障害)は強烈なショック体験、強い精神的ストレスなどで心にダメージを負い、時間が経過してもその経験に対して強い恐怖を感じることで、恐怖症、トラウマと呼ばれることもあります。
地震や津波などの自然災害や、暴力などの犯罪被害、外国では戦争に参加した兵士などがPTSDになる場合があります。
珍しいものではなく、誰にでもPTSDになる可能性があります。
VRをPTSDの治療に用いる手法は、20年以上前から存在しています。実際の犯罪現場や恐怖症の原因となった場面をVRで再現し、患者さんを徐々に恐怖の主因に向き合わることは、有効であることが証明されてきました。

医学生の教育/育成トレーニング

VRは医学生が実際の医療現場を体験する前段階の育成トレーニングや、法医学における犯罪現場の検証や証拠探しの授業などでも活用されています。
InstaVRでの事例をいくつかご紹介します。

【スタンフォード大学】医学生向け実習VR

スタンフォード大学はInstaVRを使用して、医学生向けの実習VRを制作しました。
大学ではすでに優れた医療訓練をおこなっていましたが、実際の医療現場で発生することを実習でも再現することはとても難しいことでした。
例えば、患者さんの治療をおこなっている時、看護師からの質問に返答する必要があります。また、治療中に別の患者さんの声がしたり、機器のアラートや動作音も常にしていることが普通です。その中で気を散らさずに落ち着いて治療をする必要があります。これらの環境を用意し、繰り返し経験するにはVRは最適でした。

【エンポリア州立大学】法医学生向け犯罪現場VR

エンポリア州立大学はカンザス州捜査局と提携して、InstaVRを使用した法医学生向けのVRアプリを制作しました。
VR内の犯罪現場から、DNA、部屋に残された証拠などの手がかりを見つけつつ、専門用語を学んでいきます。InstaVRで作成したホットスポットやリンクなどにより、VR内のモノを注視したり、カーソルを合わせると詳しい説明を見ることができます。

歩行訓練

アメリカのデューク大学でVRを活用した歩行訓練がおこなわれています。
歩行訓練の対象となるのは、脊髄損傷により自力歩行のできない患者さんです。
VR内で擬似的な歩行画面(自分の足元を映したもの)を見ながら、その時に生じる脳波をもちいて歩行をするというものです。
実際に訓練を受けた患者さん全員が足先の感覚や、運動能力を実感したそうです。

医療設備の操作方法を学ぶ

救急隊員向けの医療機器の操作方法を学ぶためにもVRは活用されています。
滅多に使用しない医療機器や高価の機器は、研修に使用できる数に限りがある場合が多くあります。
そこで、実際の機器で研修をおこなう前に、VR内に制作した機器で研修もおこないます。あらかじめVR内で機器の操作方法を学んでおくことで、実際の機器での研修時間を有効に使えるだけでなく、落ち着いて研修を受けられるようになります。

まとめ

医療分野で一般的にVRが普及するのは、まだもう少し先かもしれません。
しかし、イギリスのVRスタートアップが国民保健サービスのチームと連携し医療スタッフ向けのVRトレーニングを開始するなど、とても注目されている分野になります。
少しでも早く治療ができたり、快適な医療空間になるようにVRが活用されるだけでなく、未来の医療従事者がもっと効率よく医学を学べるようにVRが活用されはじめています。