2019年4月22日

VR教育を始める3つのメリットと活用事例

VR教育を始める3つのメリットと活用事例

VR(バーチャル・リアリティ、仮想現実)と聞けばゲームをイメージされる方も多いと思いますが、仮想空間で疑似体験ができる特徴を利用した「VR教育」を取り入れる教育機関も増えています。
VR教育を始める場合のメリットはなんでしょうか。
また、すでに取り入れている教育機関はどのように活用しているのでしょうか。ご紹介します。

教育機関がVR教育を取り入れる、3つのメリット

学校の授業はもはや聴くだけではなくなっています。実習で実技を学ぶのも大切ですが、実際の現場で起きるトラブルやストレス、人間関係などをあらかじめ経験し備える必要が出てきています。
しかし、実際の現場で起きる経験を実技で学ぶのは難しいのが現状です。そんな経験を補うためにVR教育は活用され始めています。

1. 場所に依存しない

学校の教室にいながら、実際の環境を体験できます。
医学生は大学附属病院を訪問しなくても、医療機器の操作や繁忙期の医療現場について学ぶことができます。
また、大学や専門学校だけでなく、小学校や中学校でも活用されています。社会の授業では数百年前の日本を体験できます。理科の授業では、学校にいながらVRを通して生物の生息地を訪問する校外学習ができたり、高価な実験機器や危険な薬品を使用した疑似実験もできます。
学生がVR教育を受けるのに必要なのは、Samsung Gear VRやOculus Goなどのヘッドセット、あるいはiOS、AndroidのスマートフォンとGoogle Cardboardだけです。
Oculus Goなどの一体型VRヘドセットの価格が下がったため、教室や研究室で使用するためにVRヘッドセットを購入する学校が増えています。

VRで手術の実習をする男性

2. 能動的な学習環境を提供できる

映像と音声により没入感が高く、ホットスポット、ナビゲーションリンク、および行動を促すことで、授業を簡単にインタラクティブな双方向にできます。
双方向性により、より記憶に残る授業となります。学生はナビゲーションリンクを選択したり、シーン内のホットスポットと対話したりして、画像、ビデオ、または音声を通じて、教科書や動画視聴では得られなかった、より多くの情報を得ることができます。
学生は受動的に動画を視聴するだけでなく、行動や選択によって結果が変化する体験型研修を楽しんで受講できるようになります。

VRを活用した授業を受ける学生たち

3. 即時対応力を身につけることができる

実際の現場では、トラブルや環境的ストレス、人間関係などさまざまなことが発生します。教科書や動画視聴だけでは、なかなか即時対応力を身につけることはできません。
子ども達だけで遊んでいて事故が起きた場合、中学生だけで大人が到着するまでの一次対応ができるでしょうか?AED(自動体外式除細動器)の使い方を知っていて、パニックにならずに使えるでしょうか?大人でもなかなか難しいと思います。
事故現場などの1分1秒を争う環境をVRで再現するのは難しいですが、限りなく現実に近い環境を整えることはできます。
繰り返し経験することで、心の準備ができ、実際に直面した時に落ち着いて対応できるようになります。

VR教育の活用事例

スタンフォード大学による医学生向け、即時対応力を身につけるための実習VR

スタンフォード大学は医学生向けのVRアプリを制作しています。
大学ではすでに優れた医療訓練をおこなっていましたが、実際の医療現場で発生することを実習でも再現することはとても難しいことでした。
例えば、患者の治療をおこなっている時、看護師からの質問に返答する必要があります。また、治療中に別の患者の声がしたり、機器のアラートや動作音も常にしていることが普通です。その中で気を散らさずに落ち着いて治療をする必要があります。これらの環境を用意し、繰り返し経験するにはVRは最適でした。

エンポリア州立大学による法医学生向け、犯罪現場VR

エンポリア州立大学はカンザス州捜査局と提携して、法医学生向けのVRアプリを制作しています。
VR内の犯罪現場から、DNA、部屋に残された証拠などの手がかりを見つけつつ、専門用語を学んでいきます。InstaVRで作成したホットスポットやリンクなどにより、VR内のモノを注視したり、カーソルを合わせると詳しい説明を見ることができます。

犯罪現場をマネキンで再現した様子

まとめ

VRは2024年までに330億ドル規模の産業になると予想されています。
スタンフォード大学、エンポリア州立大学、サウスウェールズ大学だけでなく、さまざまな高校や大学、専門学校がVR教育を取り入れはじめています。
地元の企業や非営利団体と協力して、独自のVRアプリを制作している学校もあります。
実際の現場を体験する前の予行演習として、現実では行けない場所への校外学習の代替えとして、なにより記憶に残る授業となり、より優秀な人材を教育するためにVRはさらに活用されていくと思います。